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花のあるサンルスー

今年はほとんどまともに営業ができない1年でしたが、ようやく10月から晴れて緊急事態宣言が解除となりました。お酒を出せるようになり、21時までの営業ができるようになると、こちらの勝手で店の営業を休んでいたのに、何人かのお客様から「おめでとう!」と、素敵なお花をいただきました。



今さらながら、生花って実にいいものです。以前はサンルスーの線路を挟んだ裏側に、懇意にしている花屋さんがあって、そこで店に飾る花を買い求めていたのですが、そちらが故郷に帰るため店をたたんでからは、長いこと生花のないサンルスーになっていました。


本当に本当に恥ずかしい話ですが、コロナ前までの私ときたら、仕事量が自分のキャパシティを完全に超えていて全く余裕がなく、生花を置くとそのお世話で「また一つ仕事が増える」と、花を飾ることをサボっていました。


時々いただきものの花があったりして店内に飾っていると、お客様から「生の花があるとすごく気持ちがいい!」と言われることがありましたが、「でも、お世話が……」と心の中でつぶやく、情けない自分がいました。



でも、最近の私は変わりました。花の香りに癒され、花があるっていいなと思えるようになりました。いただいたゴージャスな花を飾ると、それを楽しそうに撮っているお客様が何人もいらしたし、あるお客様は「花とビールは生に限る!」と断言されていました。「皆、花が好きなんだ!」と思いました。


そんなことをしみじみ考えていたら、花より団子のはずのシェフ金子がこう言い出しました。「やっぱり、生の花は置かなくちゃダメだ。あんた(私です)に買いに行く余裕がなかったら、俺が買ってくる!」……その心意気は誠にありがたいのですが、サンルスーにとって、それはとても危険な行為です。


裏の花屋さんで花を買っていた頃、私が買いに行く時間がなく、買い出しに行くシェフ金子に頼んだところ、びっくりするような花束を買ってきました。次に行くと、花屋さんのマダムに「お宅のご主人、すぐ仏花に手を出すから目が離せない」と言われました。


「黄色と白できれいだからいいと思った」と、シェフ金子が買ってきたのは、まさに仏様用の菊の花でした(そのとき応対してくださったのはアルバイトさんだったようです)。


余談ですが、買い出しに行くシェフ金子に両替を頼んだときのこと。慣れないとわからないので、千円札、500円玉、100円玉の数を細かくメモして渡したのに、持ち帰ってきたのは1円玉の束5本と、10円玉の束が5本。「後ろでおばちゃんが3人も並んでたから焦っちゃって」……以来、両替を頼んだことはありません。


というわけで、誠に困った代表取締役ですが、シェフ金子には料理を作ることに専念してもらうしかありません。そしてこれからも美しい生の花を、自分たちの心のゆとりのバロメータとして、店に飾っていきたいものです。

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