便利すぎてなんだか?
- vivstudio
- 4月16日
- 読了時間: 3分
全く、いつからこんなことになってしまったんだろう? コロナ禍の真っ只中、我々飲食店がお上の方針に右往左往していた頃から早5年が経ち、ハッと気づいたら映画の見方も電車の指定席の取り方もホテルの予約も、つまり世の中の様々なシステムがガラリと変わっていました。
シェフ金子は我が家の旅の宿予約担当。電話で予約しようとすると「ネット予約の方が安いですよ」とホテルの方が教えてくださり、渋々慣れないネット予約をするわけですが、ちゃんと予約が取れているか心配で心配でたまりません。思わずホテルに「予約取れてますか?」と電話で確認。
「ちゃんと予約取れてたよ!」「すごいじゃん!あぁ、良かった!」とシェフ金子をほめたたえ、私も一緒に喜ぶ。ネット予約の意味が全くない、本当に迷惑な昭和人間です。

IDってなんだ? パスワード? パスコード? PDF? 私が理解できるのはメールアドレスと暗証番号だけなんじゃない? もちろん、いろんなことが便利になってその恩恵を受けていることも事実だけれど、便利すぎてなんだか不便じゃありませんか。
ペーパーレス・キャッシュレス、メールやラインのみでのやりとり……人と人との関わりがどんどん薄れていくように思うのは私だけでしょうか?
数年前からその兆しはあったものの、今年に入ってから請求書から明細書やら様々な通知が郵送ではなく、メールに変わってきています。普通ならちょっとした登録でサクッとできるのでしょうが、アナログ人間の代表を自認する私にとっては至難の業。
お客様のお支払いのクレジットカード決済の方法もこの3月から変わったし、もう振り回されっぱなしです。それでなくても日々追いまくられているのに、時間がかかるったらありません。
電話対応窓口がなく、わからないことやちょっとした入力ミスなど話せば1分で解決することなのに、何故人間が出てこないのか? 人と話せると安心してサポートデスクとやらに電話をかけても、味気ない音声案内に振り回され、挙句の果てに「電話が大変混み合っております」と無機的に言われる始末で「こっちは忙しいっつーの!」と1人でプリプリしています。
我々の仕事は、多くの部分を業者さんの力に頼っています。「昭和のやり方」とあきれられようが、きちんと一対一で向き合って対応してくださる業者さんが、私にはとても大切です。
メールなどで通知がジャンジャン来ても、機械的に思えて私にはどうも響かない。ごまんと飲食店がある中で、皆それぞれに違うものを提供しているわけだから、一律に情報をふりまかれても見る気が起こらないのです。
我々が信頼する業者さんは、サン ル スーが何を求めているかを日頃のやりとりからちゃんとわかった上で良いものを提案し、教えてくださいます。業者さんが余剰在庫で困っている時、「いらないなぁ」と思ってもうちで引き取ります。そうすることによってお互いに信頼感と感謝の気持ちができて、必ず何かが返ってくる。持ちつ持たれつってヤツです。「だって、人間だもの」(…私のこと、相田みつをって呼んでください!)
昭和のど真ん中生まれのシェフ金子(あ、私もです)が、無口ながらもよく言う言葉があります。「やっぱり最終的には『人』だよ。外食するのもお店の人と楽しいやりとりがあってこそいい食事だし、物を買うのも『この人を信頼してるから』買おうと思う。ボタンひとつで何でも買えるけど、やっぱり人とのコミュニケーションを俺は大事にしたい」
我々の仕事もしかり、こういう便利な時代だからこそ、個々のお客様に向き合ってマニュアル通りではない店ができたらなあ、と思います。とても難しいことではあるけれど。
こんなこと言ってると、そのうち買い物も、すべての手続きもできなくなりそうで怖くなってきます。でも、言いたい。大きな声で言うと世間様から余計においてけぼりにされそうだから、小声で言おう。「昭和バンザイ、アナログ上等!」
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