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テイクアウトはじめて物語(その7)

コロナを取り巻く雰囲気がますます深刻になり、「お正月はおうちで」としきりに言われるようになった12月、世の中はまさかの、空前のテイクアウトおせちブームに。


サンルスーも今年初めての試みである、ホームページ・インスタグラム・フェイスブックでの告知が功を奏し、想定外のおせち特需景気! 例年よりかなり余裕をみて用意したはずの、お重をはじめとする容器類が12月初旬には底をついてしまい、早々と完売御礼に。



いつもの「無理をしない、欲張らない」というシェフ金子の方針なんて「どこへ行ったんですか?」状態の、かつてないご注文数をいただいてしまったのです。「遊び心」とか立派なことを言って「選べるおせち」にしたことを、心底猛省する羽目に。


しかし、コロナで大打撃を受けた売り上げを少しでも取り戻さなければ、そして、サンルスーのおせちを楽しみにしてくださっているお客様の期待に応えなければ、商売人として失格です。もう、とにかくやるしかない。


とは言ってもその量は尋常ではなく、作っても作っても終わらない。最後の数日は、厨房組は泊まり込みとなり、シェフ金子・スーシェフ香田は、共通の趣味であるキャンプの寝袋を店に持ち込んで、どこかいそいそとセットしています。その姿を見ながら「男って単純な生き物だな」とあきれて、深夜にお先に失礼する私でした。


おせちはとにかく、数が大切。一つでも数を間違えると一大事です。未体験の数量を扱うことになったので、肝っ玉の小さい私は「何か間違いが確実に起こる」という妙な確信がありました。


そのためサービスのスタッフと数人がかりで、何度も何度も数え直して確認しては安心し、また心配になって数え直すという毎日を繰り返すことに。いやはや、本当にありがたいことですが、2020年のおせち作りには相当やられました。


お引き渡し当日の大晦日には、姪っ子から姪っ子の友人までそこらじゅうから駆り立てて総動員の万全態勢で臨み、おかげさまで一つの間違いも問題もなく、無事に全部のおせちをお客様にお渡しできました。


これは、冷静になった今をもって、どう考えてもただの「奇跡」としか思えません。すべて終わった後の達成感もいまだかつてないもので、お疲れさんのビールの美味しさが、今でも忘れられません。

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