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テイクアウトはじめて物語(その5)

店内営業を再開した2020年6月。それと同時に、多少の心残りとちょっとした正義感で、規模は小さくしながらもテイクアウト営業も再開することになったのですが、これがまた、とてもとても大変なことだと、始めてみてすぐ気づくことになりました。


店内営業とテイクアウト営業は似て非なるもので、全くの別物だったのです。



店内営業は、アミューズブーシュからデザートまで、お客様に合わせて作りたてをお出しする。一方テイクアウトは、作っておいたものをお渡ししてある程度の時間を経て召し上がっていただく。


つまり、材料の選び方から仕込みの段取り、調理法も多くは違ってくるのです。慣れない作業に戸惑いながら、全く別の仕事を同時進行することになりました。しばらくはろくにまかないの時間や休憩時間も取れず、「二足のわらじ」はそんなに甘くなかった、のでした。


それでも、コロナを取り巻く世の中を見ていると、やはり今、これが我々にできること。「またこのテイクアウト営業の経験がきっと役に立つ時が来る」と自分たちに言い聞かせます。


小さな体で2階にあるサンルスーの急な階段を一生懸命昇って、テイクアウトを取りに来てくれるおちびちゃん。その姿に癒されながら「辛くて大変だけど、お姉さん(私のこと!)頑張る!」と勝手に自らを鼓舞する私。


すれ違うたびにフーフー言って大変さをアピールするシェフ金子に気づかぬふりをし、凝り出したら止まらないスーシェフ香田お手製の「キムチ・酢玉ねぎ・ヨーグルト」の3点セットを毎日食べて腸内環境を整え、とにかく皆で体調を万全にして臨みました。


気づけばあっという間に夏が過ぎ、秋が来て、冬になりました。こうして我々は、これまでになかった、忘れられない(恐怖の)年末を迎えることになるのです。

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