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15時オープンとお客様

2020年6月から、15時開店となったサンルスー。根っからのアナログ人間の私は「認識してもらって定着するまでには時間がかかるだろうな」と呑気に構えていたのですが、どうやら世の中はIT時代。ウェブサイトやSNSで告知をご覧くださったお客様が早速、15時16時といういわゆる中途半端な時間にご来店くださったのには、正直驚きました。


「SNSの力ってすごいんだな」と感心するやら慌てるやら、全く「今時」にも程があります。いつまでも自らを「アナログ智恵美」などと名乗っている場合ではないと痛感した次第です。


度重なる緊急事態宣言で、営業自体まともにできてはいなかったけれど、15時オープンを始めてそろそろ2年、なんとなくわかったことがあります。15時開店でも、お客様は来てくださる。15時16時という「外れた時間」にいらっしゃるお客様には、4つのタイプがあることにも気づきました。



タイプ1:このご時世、混んでいる時間帯を避けたいお客様。やはり18時前後はどうしても混み合うので、「密」を避けたいお客様は早い時間を選ばれます。


タイプ2:お子さんがいらっしゃるので、夜の時間帯にご来店できないお客様。ランチ営業をしていたときに来てくださっていたご夫婦たちです。


タイプ3:2年にも及ぶコロナ禍で、食習慣や仕事を含め、生活スタイルが変わったお客様。自粛生活の中、健康志向が強くなり、遅い時間の夕食を避けるお客様が増えてきたように感じます。再三の飲食店の時短営業で、お客様の予約時間もずいぶん変わりました。おおむね皆さん、コロナ前のご来店時間から2時間位早まっています。2年前には想像もつかなかったことです。


タイプ4:この奇妙な開店時間を面白がってくださるお客様。サンルスーのお客様をなんとも自慢に思うのは、こういう遊び心と包容力のあるお客様がいらっしゃることです。15時オープンにあたって、そんなお客様たちがさまざまなエピソードを残してくれました。


「サンルスーが3時にオープンしたりするから、僕の夕食は毎日3時になっちゃったよ」と、いつも開店一番乗りじゃないと気が済まないお客様。「僕たちは6時には帰るから、次のお客さん、6時過ぎには入れていいよ」と、お客様の入りまで心配してくださいます。でもとても盛り上がっていらして、お帰りになったのはなぜか20時。素直にご指示に従っていたら、大変なオーバーブッキングになるところでした。


また別のお客様は、食事を朝と15時の2回という形に切り替え、1年数カ月で10kg以上やせられました。もちろん毎日ワイン付きで。「今まで10kgの米袋を体に巻きつけていたと思うとゾッとするよ」……自称コロナ太りの私、仕事そっちのけで話に聞き入ってしまいました。


「こんなに明るいうちから食べて呑んで、なおかつまだ明るいうちに帰れるなんて最高」とおっしゃっていたお客様。女子2人の久々の食事会は話が弾み、お帰りの時間は21時ちょっと前。後者の「明るいうち」というのは陽の光ではなく、街灯の明かりだったのです。


我々裏方としても、仕込みに充分時間をかけることができるし、お客様のご来店時間がばらけるので、お待たせすることも少なくなりました。私自身も、今まではろくにお客様とお話できなかったのが、今ではいろんなお話ができるようになりました。


15時から閉店までは実際なかなかの長丁場で、思っていたより大変ですが、「ま、とりあえずよしとするか!」と考えております。

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